啓蟄は、春夏秋冬以外の季節を示す二十四節気の中で3番目に位置する節気です。
立春や夏至、秋分などは一般的によく知られていますが、啓蟄は比較的知名度が低く、読み方さえ知らない人も少なくありません。
それぞれの二十四節気は季節の特徴を表す名称が付けられており、啓蟄についても詳しく知ることで季節を感じる一助となるでしょう。
この記事では、啓蟄の意味や読み方だけでなく、この時期に旬を迎える食材や季節の花、それに関連する風習についてもご紹介します。
啓蟄の意味とは?
啓蟄の意味には、「開く」という意味の「啓」と、「冬ごもりする虫」という意味の「蟄」が含まれています。
この言葉は、冬眠から目覚めた虫たちが地上に姿を現す様子を表しています。
冬の寒さが和らぎ、暖かくなるにつれて、人間だけでなく生き物たちも活動的になります。
この時期になると、地面を這う小さな虫や野原を飛び回る虫の姿を目にし、「春が来た」と感じる人も多いでしょう。
啓蟄はもともと中国の暦から来た節気で、中国では「驚蟄」と呼ばれています。
この名前には、春の雷に驚いて虫たちが地上に現れるという意味が込められています。
啓蟄の読み方は?
啓蟄の読み方は、「けいちつ」と読みますがなかなか読みにくい節気の一つです。
啓は馴染み深い漢字ですが、蟄は日常ではあまり見かけない漢字で、二十四節気の中でも特に読み方が難しい部類に入ります。
しかし、これらの漢字と意味が密接に関連しているため、漢字の意味を深く理解することで、名称の背景を知ることができます。
現代の日本では、スマートフォンやパソコンの普及により、漢字を書く機会が減り、読めない人も増えていると言われています。
だからこそ、二十四節気を通じて新たな漢字やその意味を知ることは、学びの面白さを感じる機会になるかもしれません。
啓蟄2024年はいつ?
2024年の啓蟄は3月5日(火曜日)に設定されています。
二十四節気の日付は年によって異なるため、2024年以降、啓蟄が毎年3月5日になるわけではありません。
ただし、通常は大きな日付の変動はなく、ほとんどの年で3月5日か6日頃に啓蟄が設定されます。
二十四節気は特定の日だけでなく、その節気から次の節気までの期間も含むことがあります。
2024年の場合、啓蟄は3月5日ですが、次の節気である春分が3月20日になるため、啓蟄の期間は3月5日から3月19日までとされます。
啓蟄は何するの?
啓蟄には特定の行事や行動が定められているわけではありませんが、この時期は冬眠していた虫が目覚めるほどの暖かさが感じられる時期です。
そのため、長い間家の中で過ごしていた人にとっては、この時期に外出して散歩を楽しむのが良いでしょう。
また、3月3日のひな祭り前に雛人形を飾るのに適した時期として、雨水の日が良いとされていますが、その片付けに関しては啓蟄までが望ましいと言われています。
雛人形の片付けを遅らせると女の子の婚期が遅れるという言い伝えがありますが、具体的な「遅い」とは何時までを指すのかについて疑問を抱く人も多いです。
啓蟄は通常3月5日か6日頃であるため、3月3日の雛祭りが終わった後、4日か5日に片付けを済ませることが一般的です。
啓蟄の旬な食べ物とは?
啓蟄の季節になると、冬眠から目覚めるのは虫だけではありません。
自然界では春の訪れを告げる山菜も次々に顔を出し始めます。
春の代表的な山菜としては、蕨(わらび)、筍(たけのこ)、薇(ぜんまい)などがあります。
これらは春の訪れを感じさせる豊かな食材で、少々の手間をかける価値があります。
山菜だけでなく、啓蟄の時期には果物も豊富になります。
いちごやはっさくのような果物や、春キャベツ、新たまねぎなどがスーパーで見かけられるようになります。
特に春キャベツや新たまねぎは、通常の野菜よりも柔らかく食べやすいため、野菜が苦手な子どもたちにもおすすめです。
旬の食材は、味わい深いだけでなく栄養価も高く、体調を整えるのに役立ちます。
春の訪れと共に動き出すこの時期、旬の食材を楽しんで活力を得てはいかがでしょうか。
啓蟄の季節の花とは?
啓蟄の季節には、いくつかの美しい花が見頃を迎えます。
特に代表的なのが梅の花です。
梅は冬の終わりから春の始まりにかけて咲き、その美しい姿は「次は桜の季節だ」と春の訪れを感じさせます。
同じくこの時期に開花するのが菜の花です。
菜の花畑は一面の黄色い絨毯のようで、2月から3月にかけてその美しさを楽しむことができます。
菜の花は見た目だけでなく、食用としても重宝されます。その独特の苦味や香りは、啓蟄の時期ならではの味わいと言えるでしょう。
また、モクレンの仲間である白木蓮(ハクモクレン)も、この時期に美しい白い花を咲かせます。
梅の赤、菜の花の黄色、白木蓮の白という色彩は、春の訪れを告げる鮮やかな景色を作り出し、見る人の心をわくわくさせます。
啓蟄のこも外し
冬の間、木に巻かれている「菰(こも)」というものを見たことはありますか?
これは松の木に対する害虫駆除のために用いられる伝統的な方法です。
江戸時代から続くこの風習は、松の主要な害虫であるマツカレハの幼虫が菰に集まって越冬する習性を利用しています。
啓蟄の日にこれらの菰を取り除き、焼き払うことでマツカレハを駆除するとされていました。
この行為は「菰外し」と呼ばれています。
しかし、最近の調査によると、マツカレハの幼虫は菰には集まらないことが判明しました。
さらに、菰はマツカレハの幼虫の天敵であるクモやヤニサシガメなどを引き寄せる役割をしていたことがわかりました。
このため、菰を外して焼く行為は、実際にはマツカレハの駆除には逆効果であると言われています。
その結果、啓蟄における菰外しの習慣は少なくなってきていますが、一部の地域では今でも昔ながらの風習としてこの行事を続けている場所もあります。
このように、古い風習が現代の知識と経験によって見直されることはありますが、文化や伝統の一環として残っている側面もあるのです。
啓蟄と二十四節気
旧暦は月の満ち欠けを基にして日付を決定し、一か月の長さが平均約29.5日となるため、時間が経つにつれて実際の季節と暦のズレが生じることがありました。
このズレを修正し、季節感を表すために二十四節気が取り入れられました。
特に農業を営む人々にとっては、二十四節気に基づく季節感が非常に重要でした。
啓蟄は立春から数えて三番目の節気にあたります。
節気は約15日ごとに変わるため、啓蟄は春らしい天候が続く時期とされています。
立春が「暦の上では春」とされるものの、実際に春らしい気候を感じることができない場合もありますが、啓蟄になると、より春の訪れを実感できる日が増えてきます。
啓蟄の意味とは?のまとめ
啓蟄は、二十四節気の中で3番目に位置する節気で、「土中で冬眠していた虫たちが地上に出てくる」という意味を持っています。
この時期には、暖かな春の光と気温に誘われて、冬眠していた虫たちが活動を再開します。
2024年の啓蟄は3月5日に設定されており、次の節気である春分が3月20日に来るため、3月5日から3月19日までの期間が啓蟄とされることが一般的です。
この時期は、梅の花が咲き乱れ、菜の花が広がり、また様々な山菜が収穫の時期を迎えます。
冬の寒さで室内にこもりがちだった人たちにとっても、啓蟄は外に出て春の自然を楽しむ絶好の機会です。
まるで目覚めた虫たちのように、外に出て春の訪れを感じてみるのはいかがでしょうか。