お茶は日本の文化に深く根ざした国民的な飲み物であり、その健康効果から国内外での人気も高まっています。
しかし、新茶や一番茶、二番茶、三番茶の区分けについてその違いを理解するのが難しいと感じている人は多いかもしれません。
そこで、今回はこれらお茶の種類の違いをはじめ、お茶選びのポイントについて解説します。
また、お茶を飲む際によく言われる「茶柱が立つのは吉兆である」という話の背景についても探ってみましょう。
新茶と一番茶二番茶三番茶の違いは?
緑茶は年に数回収穫されることから、収穫時期によって新茶、一番茶、二番茶、三番茶と分類されます。
加えて、新茶という言葉も頻繁に耳にするかと思いますが、これらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、それぞれの茶葉の収穫時期や特性を解説します。
新茶
新茶は年間で最初に収穫される茶葉を指し、主に4月から5月にかけて収穫されます。
日本列島の南部から収穫が始まり、徐々に北上していきます。
新茶は、その年に初めて摘まれる茶葉であり、新鮮な味わいが特徴です。
特に5月初旬の八十八夜頃に摘まれる新茶は、不老長寿の効果があると昔から珍重されています。
新茶は若い茶葉から作られるため、カテキンやカフェインは控えめで、アミノ酸が豊富に含まれており、甘みが強い味わいが楽しめます。
一番茶
一番茶は新茶と同じくその年最初に収穫される茶葉で、新茶に対してより広範囲での収穫を指すことがあります。
一番茶は、秋から冬にかけて蓄えた栄養が豊富に含まれ、甘味や旨味が際立つ高品質なお茶です。
二番茶
二番茶は一番茶の後、6月から7月にかけて収穫されます。
この時期は気温が上昇し、茶木の成長が加速するため、一番茶と比べると風味が劣り、苦味や渋味が増します。
三番茶
三番茶は二番茶の収穫後、7月末から8月にかけて摘まれます。
この時期に収穫される茶葉は、一番茶や二番茶と比較して旨味成分が減少しますが、それでも一定の品質を持つお茶が作られます。
秋冬茶葉
三番茶の収穫を行わずに茶木をそのまま育てると、秋から初冬にかけて摘む茶葉が秋冬茶葉と呼ばれます。
この秋冬茶葉は、三番茶よりも風味が優れており、さらにポリサッカライドという成分が豊富に含まれています。
ポリサッカライドは血糖値を低下させる効果が期待されるため、健康への利益が注目されており、近年健康志向の高まりとともに秋冬茶葉への関心も増えています。
お茶の選び方
日本で生産される茶葉の大部分が緑茶として市場に出回っており、その種類の豊富さからどのお茶を選べばいいか迷う方も多いかもしれません。
ここでは、お茶の選び方のポイントをいくつかご紹介します。
甘みを求めるなら
甘みや旨味をしっかりと感じたい場合は、新茶がおすすめです。
新茶は春先の4月から5月にかけて収穫された茶葉から作られ、特に早い時期に摘まれた茶葉ほど甘味が際立ちます。
高品質な新茶は、その豊かな甘みから高価で取引されることもあります。
また、玉露も甘みが強いお茶の一つで、特有の栽培方法によって渋味をおさえた甘い味わいが楽しめます。
玉露は太陽の光を遮って育てられ、その甘みと旨味はリラックスしたい時にぴったりです。
60度程度のお湯でゆっくりと淹れると、玉露の風味がより引き立ちます。
渋味を楽しみたいなら
渋味を好む方には、二番茶や三番茶が適しています。
これらの茶葉は一番茶よりも後の時期に収穫され、茶葉がしっかりとしており、強い渋味が特徴です。
これらの茶は熱いお湯で淹れることが推奨され、茶葉を急須に入れてから軽く振ることで、より濃厚な味わいを引き出すことができます。
特に、油っぽい食事の後に飲むと、その渋味が口の中をすっきりとさせてくれるでしょう。
茶柱が立つと縁起がいいと言われるのはなぜ?
茶柱が立つ現象は、お茶の茎が湯呑みの中で直立することを指し、これが縁起の良い兆しとされています。
その背景にはいくつかの説がありますので、その一部を紹介します。
1.急須の茶こしは通常、茶葉や茎が湯呑みに流れ込むのを防ぐために細かい網目になっています。そのため、茶葉の茎が湯呑みに流れ込んで立つことはまれであり、この稀な現象が縁起の良いものと捉えられるようになりました。
2.高級な新茶や一番茶には茎が含まれていないことが多いのに対し、二番茶や三番茶では茎が混じることがあります。二番茶や三番茶が新茶や一番茶ほど売れないことに悩んだ茶の商人が、「茶柱が立つと縁起が良い」という噂を流して販売促進を図ったという説があります。
3.「柱が立つ」という表現が、「大黒柱が立つ」=「家庭が繁栄する」という意味を持つことから、茶柱が立つこと自体が家庭の繁栄や安定を象徴する吉兆とされるようになったという説があります。
近年では、急須の茶こしが細かくなったため、またティーバッグを使う機会が増えたため、茶柱が立つことは非常に珍しくなっています。
茶柱が立つお茶を意図的に作り出したい場合は、二番茶や三番茶を使用し、茎を一つ選んで片方を濡らしてから茶に加えると立ちやすくなります。
ただし、この縁起の良い現象を他人に話すのではなく、自分の幸運として静かに楽しむのことが望ましいとされています。
お茶の違いのまとめ
お茶、特に緑茶は、収穫される時期によってその名称が変わります。
年間で一番初めに収穫されるお茶は新茶、または一番茶と称され、その後の収穫では二番茶、三番茶という名称が用いられます。
新茶には旨味成分が豊富に含まれているため、甘みを強く感じることができます。
一方、二番茶や三番茶では、時間の経過とともに苦味成分が増えるため、渋みが強くなりがちです。
そのため、お茶選びでは個人の好みが重要になります。
甘みが豊かで旨味を楽しみたい場合は、新茶や玉露など特別な栽培方法を用いたお茶を選ぶのがおすすめです。
逆に、渋みを求める場合は、二番茶や三番茶が適しています。